Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

或る終焉

父の秘密』で世界的な評価を得たメキシコの新鋭、マイケル・フランコ監督の新作。終末期患者のケアと看取りを繰り返す看護師(ティム・ロス)。息子の死をきっかけに家族と疎遠になっている彼は、患者と親密な関係を築くことを心の拠りどころにしていたが──。この映画のキモは、宣伝文句の“意表を突く結末”でも“死に寄り添う男の美談”でもなく、もっと複雑で重層的なもの。原題『Chronic』=“慢性的”を“手の施しようがない”と解釈すれば、人が己の存在意義をどこに見出すかという重いテーマが見えてくる。

【CDジャーナル 2016年12月号掲載】