Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

ハドソン川の奇跡

2009年1月、乗員・乗客155人を乗せたエアバスがNYの空港を発った直後、両エンジンが大破、制御不能に。墜落と全員の死亡さえ覚悟された中、機長は独断でハドソン川への緊急着水を決行、そこで奇跡が起こった──と、ここまでは日本でも大きく報じられた美談。しかし現実にはその後に続く重苦しい日々があった。
事後の検証結果をもとに「規則違反の無謀な行動で大勢の乗客の命を危機に晒した」と、上役や役人らに責任を問われ、英雄から犯罪容疑者へと転落する機長。理不尽。
だが空港関係者はもちろん、たまたま周囲にいたフェリーの船員、沿岸警備隊、市警や一般市民らがただただ良心に従って救助に駆けつけるその姿には涙が出た。

イーストウッド監督によるこの実録映画を観た人は、ぜひ後で「日航機 ボイスレコーダー」でネット検索してみてほしい。映画とはまた違った結末の“現実”が、10分余りの音声記録として残されている。頭の中が真っ白になるはずだ。

【CDジャーナル 2017年03月号掲載】