Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

92歳のパリジェンヌ

元フランス首相の母親で、尊厳死を求めて戦った女性の実話が原作。温かい家族に恵まれつつも、老いによって“もう自分でできなくなったこと”をひとつずつ数え、「まだ気力のあるうちに人生を終わらせたい」という92歳の老婦人。若い頃から社会活動家として強く生きてきただけに、その決意は固い。当惑するばかりだった子や孫も、それぞれに気持ちを変化させ──。物語としては起伏に乏しく地味だが、老女の信念の強さに、深く静かな余韻が残る。母を愛するがゆえに苦悩する娘役に『冬の旅』のサンドリーヌ・ボネール

【CDジャーナル 2017年05月号掲載】