Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

愚行録

週刊誌記者の主人公(妻夫木聡)は、幼児虐待による妹(満島ひかり)の逮捕から目をそらすように、一年前に起こったエリート一家惨殺事件の掘り起こし取材に没頭していた。見栄や嘘、嫉妬や階級意識など、誰もが日々積み重ねている“愚行”を淡々と描きつつ、いつしかそれらが絡み合って謎の中心に迫り寄っていく様はお見事。直木賞候補となった貫井徳郎の同名小説が原作。準主役の小出某が起こした淫行事件で劇場公開が中止となって“まさに愚行”というオチまでついたが、それで埋もれさせるのは惜しい良作。

【CDジャーナル 2017年09月号掲載】