Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

娼年

冒頭からの激しいセックス描写におののくが、しだいにその激しさは主人公が抱える空虚の裏返しだと分かる。おそらくは、無性愛者が持つ空虚──石田衣良が原作を出した2001年には無性愛という日本語すらなかったはずだが。それを見透かした女の誘いで、リョウ(松坂桃李)は年嵩の女たちに体を売り始める。撫でる、舐める、なぶる、咥えさせる。だが空虚は埋まらない。芸術か猥褻かと問われれば完全に猥褻寄りなのに、不思議と劣情はもよおさない。性を剥き出しにした人間の業の深さが勝っているからだと思う。

【CDジャーナル 2018年10月号掲載】